特許法 登録手続
1 総論 T.p.86-87
発明者主義(29条1項)
発明者=技術的思想の創作に現実に加担した者
「法人発明」は認められず ⇔ 「法人著作」
発明者の有する権利…①特許を受ける権利、②発明者名誉権
先発明主義と先願主義 cf.米国の先願主義への移行(2011年)
2 発明者
(1)職務発明制度 T.p.89-95
イ)職務発明制度の趣旨
①従業者と使用者間の権利および利益の衡平(バランシング)
②発明の利用の促進
③研究開発の投資のインセンティブの付与
⇒ 職務発明制度
発明者主義の例外
職務発明=従業者がなした使用者の業務範囲に属する発明であって、従業者の現在または過去の職務に属するもの(⇔ 自由発明)
「使用者」=当該発明が創作されるに際して中心的な援助や管理を行った者
ロ)職務発明制度の実際(35条)
パターン1:従業者が特許権を取得する場合(1項)→ 使用者は当該職務発明につき通常実施権を有する(=使用者等当該特許発明を無償で利用可能)
パターン2:使用者が特許権を取得する場合(4項)
⇐ ①予約承継による場合(2項の反対解釈)
②「特許を受ける権利」を使用者に原始帰属させる場合(3項)
→ 従業者は相当の利益を受ける権利を有する
(=法人が独占する場合、従業者は利益(報奨金、留学の機会、ストックオプション、昇進・昇格等の経済的価値を有するもの)を受け取ることができる)
ハ)権利の承継
予約承継が可
使用者への原始帰属が認められる(平成27年改正)
ニ)相当の利益請求権
特許を受ける権利が使用者に帰属した場合、従業者は相当の利益を受ける権利を有する
相当の利益について定める場合
①使用者と従業者の協議の状況
②基準の開示の状況
③決定について行われる従業者からの意見の聴収の状況、等を考慮(5項)
相当の利益についての定めがない場合または不合理である場合
→ 裁判所が相当の利益の内容を決定(7項)
「不合理」か否かを判断する考慮要因についての経産大臣の指針(6項)
(2)その他 T.p.87-89
イ)共同発明
共同出願(38条)とその拒絶査定(49条2号)、持分譲渡には他の同意が必要(33条3項)
ロ)冒認
冒認出願=発明者でないものによる出願
冒認出願の場合は拒絶査定(49条3号)、無効審判(123条1項6号)、特許権の移転請求(74条)
3 特許出願 T.p.96-99
書面主義(36条)
出願書類…願書、明細書、特許請求の範囲など
出願公開…出願から1年半後に特許公報に掲載(特64条1項)
産業の振興(応用改良技術の開発、重複投資回避)
出願公開の請求制度(64条の2)
補償金請求権(65条)
4 審査と登録 T.p.99-110
(1)審査手続き
審査請求制度(特48条の2、および同3)
審査期間の長期化 ←
玉石混交の特許出願
①防衛出願、
②出願後価値が減少した発明
③より優れた発明を創作した場合
④商品化の目途が立たない発明など
審査官による実体審査(47条)
拒絶理由の通知に対する意見書の提出(50条)と補正書の提出(17条の2など)
拒絶査定(49条)と特許査定(51条)
(2)登録
特許権の設定の登録(66条)、特許料の納付(107条)
存続期間:設定登録により発生し(66条1項)、出願日から20年間(67条1項)
(3)特許異議申立制度と審判・審決取消訴訟
イ)特許異議申し立て制度
公衆審査としての特許異議申立制度(113条以下)
ロ)審判と審決取消訴訟
審判=特許庁の判断に対して不服がある場合、同判断の再審理を特許庁に請求する制度/特許庁による準司法的手続 ⇐ 高度な法律的および技術的知識が必要
審判の種類:
①拒絶査定不服審判(121条)
②特許無効審判(123条)
③存続期間延長登録無効審判(125条の2)
④訂正審判(126条)
※①、④=査定系、②、③=当事者系
審決取消訴訟…取消決定(特許異議申立の場合)および審決に対する訴えは知財高裁の専属管轄(178条1項、知財高裁2条2号)
5 特許権の経済的利用
(1)特許権の譲渡等 T.p.111
特許権の移転には登録が必要(98条)
(2)実施権の設定 T.p.111-115
ライセンス契約の意義
専用実施権(77条)、通常実施権(78条)、独占的通常実施権
仮専用実施権(34条の2)
仮通常実施権(34条の3)=特許を受ける権利を有する者が将来取得する特許権について、予め専用実施権や通常実施権と同一の範囲で設定する実施権
裁定実施権(強制許諾実施制度)…
①不実施の場合(83条)
②自己の特許発明を実施する場合(92条)
③公共の利益に必要な場合(93条)